コンピュータ科学専攻の学位に価値はない?ChatGPTを見て、東大卒エンジニアが考えた事
はじめに
どうも、私立YouTube高専校長です。 私は、幼いころからコンピュータに興味を持っていて、人生の大半をコンピュータに費やしてきました。
なぜ、コンピュータがそこまで私を魅了するのか、それは、単に技術的な面白さだけでなく、 コンピュータがここ50年で、すさまじい速さで進化し、同時に人々の価値観や社会に大きな影響を与えて来たからです。
本日は、少し、いつもと趣旨を変えて、技術という枠を超えて、 コンピュータ技術が社会を、人々の価値観をどう変えていくか、という事について、少しお話してみたいと思います。
具体的には、ChatGPTの存在によって、エンジニアの働き方にどういう影響があり、 その結果、どういうエンジニアの価値が高まり、どういうエンジニアの価値が下がるのか、という分析をご紹介したいと思います。
既にコンピュータで飯を食ってる人や、これからコンピューター科学の道を志す人は、自分の進路を選択する上で、参考になるかもしれないので、是非最後までご覧ください。
この動画をご覧になっている、昭和30年生まれの方は、コンピューターが、電卓から始まり、ファミコンやデスクトップPCが生まれ、ノートパソコンが生まれ、インターネットが生まれ、スマートフォンが生まれ、SNSが生まれ、と、次々と、新しいコンピュータ技術が生まれ、その度に社会に大きな影響を与える様を、まじまじと見て来たと思います。 例えば、動画配信を支える様々な技術がなければ、あなたが今こうして私の動画を無料で視聴することも、絶対になかったでしょう。
そして、ここ1年ほどは、ChatGPTやMidjourneyを始めとした、LLM(大規模言語モデル)が、非常に注目を集めています。 実際に、私もChatGPTを使用しましたが、簡単なプロンプトによって、様々なタスクがこなせます。 このモデルがすごいのは、プロンプトという誰でも扱える、自然言語を使用することによってタスクが実行できるので、 専門家でなくても、専門家のような仕事が出来るという点です。
あなたもChatGPTを使ったことがあるなら、次のような発想が、生まれたかもしれません。 それは、ChatGPTがもう少し進化すれば、 「ホワイトワークの仕事は、コンピュータに置き換えられ、不要になる」 というものです。
特に、ソフトウェアエンジニアのようなWeb上に、学習データが溢れ、コンピュータの世界で完結するような仕事は、真っ先に取って代わられるのではないか、と考えるかもしれません。
それでは、例えば、コンピュータ科学の専門性を象徴するコンピュータ科学専攻の学位というのは、ChatGPTの存在によって、価値を失っていくのでしょうか?? ChatGPTの登場によって、顕著になったこのような問いは、既にコンピュータで飯を食ってる人や、これからコンピューター科学の道を志す人を不安にさせるかもしれません。 それでは、私なりの意見を、述べさせて貰います。
残念ながら、答えはNoでしょう。
確かに、ChatGPTを使うことによって、素人でも専門家のような知識が、簡単に手に入ります。
しかし、専門家目線で、じっくり出力を見ると、実際には、ChatGPTは誤った内容を多く含みます。ChatGPTは、大量の文章を学習データとして使っており、文脈に沿った単語と、自然な文法の文章を出力してはくれますが、よく見ると、内容はでたらめというのが少なくないです。 なので、誤った内容が、非常に尤もらしく出力されます。しかも、それをLLMがメタ認知することもできません。 したがって、ChatGPTを何らかの専門的な分野で活用するためには、検証が必要になります。
実際に、私も最初は、すげーなこれと思って、ChatGPTを最初はプログラミングの共にしていましたが、 徐々に、検証にかかる時間の方が長いので、あまり、生産性を上げるのに効果的でない事が判明し、既に解約しました。 ChatGPTに任せられる仕事は、ソフトウェアエンジニアの仕事には、残念ながら、あまりありませんでした。
これは、ソフトウェアエンジニアに限らず、あらゆる分野で、同じような事が言えると思います。
そして、これは、このままモデルを大きくしても、容易に解決される問題ではないと考えています。
私は、これが、非常に大きな社会的な問題を孕んでいると思っていて、 これから、Web上には、LLMが出力した、低品質な情報が溢れかえると思います。 なぜなら、ChatGPTは、単語も文法もそれらしい文章を大量に生成できるので、検索エンジンのクローラーがそれらを識別するのは、困難だからです。 それでも、アフィリエイターはとにかく広告が見られることが目的なので、なりふり構わず全力で推進します。
したがって、検索結果には、ChatGPTが出力した低品質な文章が並びます。 それは、社会全体に波及し、世の中に低品質な情報が溢れます。 これは、かつての、2chまとめ黄金時代や、キュレーションメディア黄金時代を彷彿とさせる出来事です。
そして、このように、世の中に低品質な情報が溢れているからこそ、 人間には、それを検証するための高品質な知識が求められるようになります。 つまり、エンジニアには、情報を検証するための、より深い専門的な知識や技能が求められます。
逆に言うと、ChatGPTに振り回される程度の専門性しか、持たないようであれば、そのエンジニアにChatGPTの月20ドル以上の価値はありません。 これが、私がコンピュータ科学専攻の学位つまり、コンピュータ科学に対する専門的な知識が、価値を失うどころが、価値を高めると考える理由です。
だから私は、多少時間がかかっても、コンピュータに関する高品質な知識を解説し続けていきたいと思います。 それこそが、私のチャンネルの価値であると思っています。
学位というのは一例であって、学位自体に価値がある訳ではなく、玉石混交の情報を検証するための、専門的な知識・技能に価値があるのです。
しかし、だれもが、そのような専門的な知識や技能を学習する機会に恵まれる訳ではありません。 このような高度な専門性を獲得するためには、経済的・身体的・タイミング的に、非常に恵まれている必要があります。
なので、私のチャンネルでは、誰もが気軽に、コンピュータに関する専門的な技術を学習できるチャンネルにしたいなと思います。
今後も、コンピュータにまつわる興味深い技術をご紹介して、 あなたと一緒にこの技術・社会・価値観の荒波を楽しんでいきたいと思うので、ぜひチャンネル登録お願いします。
本日の動画の内容は以上になります。ここまでご視聴ありがとうございました。